この季節になると、桜の開花宣言のニュースが気になります。今年は早いのでは、といわれていた開花は、過日の寒波のせいで例年通りということです。間近になると、より良い場所で花見の宴を催そうと、宴会担当者は巷のウワサに耳を傾け場所取りに余念がありません。

 桜の花を愛でながら、酒を酌み交わす花見は日本独自の行事。かつては釈迦の誕生日である4月8日が花見の日と決められていました。840年(承和7年)、釈迦の誕生のときに竜が天から降りてきて香湯を注いだという言い伝えにより、宮中で美しい草花で飾った花御堂に安置された誕生物に香湯や甘酒などをそそぐ灌仏会が行われたのです。ちょうど桜が美しい季節なので、この灌仏会は花祭りともいわれています。

 花見は野山で花を愛で、宴を催す山遊びや野遊び、磯遊びに由来します。平安時代には貴族の間で桜が観賞されるようになり、庶民の娯楽として定着したのは江戸時代から。その頃から花見団子が欠かせないものになったようです。

    枝垂桜垂れて疎水の水にまで   山口誓子
    奈良七重七堂伽藍八重桜     松尾芭蕉
    風に落つ楊貴妃桜房のまま    杉田久女

と、多くの俳人にも詠われている桜。大きく広げた枝に咲き誇る桜もみごとですが、夜桜や散り際も美しい姿を見せることで知られる桜並木は、わたしたち日本人にとっていつの時代も心を豊かにしてくれる風景に違いありません。

 手作りのお弁当を持って、家族で気軽に花見に出かけてみませんか?


◆いつもの惣菜にひと工夫した花見弁当
《ゆかりご飯》
■材料/4人分
   米・・・・・・・・・・・・・2カップ
   水・・・・・・・・・・・米の20%増し
   酒・・・・・・・・・・・大さじ1
   塩・・・・・・・・・・・小さじ1/3
   ゆかり・・・・・・・・・・・大さじ1

(1)米は炊く1時間前に洗う。

(2)米に上記の量の水と酒を入れて普通に炊く。

(3)むらした後、できあがりにゆかりを入れながらご飯をまぜる。

《こんにゃくのたらこ和え》
■材料/4人分
   糸こんにゃく・・・・・・・・80g
  (調味液)
   だし汁・・・・・・・・・150CC
   酒・・・・・・・・・・・大さじ1
   砂糖・・・・・・・・・・小さじ1
   みりん・・・・・・・・・小さじ1
   しょうゆ・・・・・・・・大さじ1
   油・・・・・・・・・・・大さじ1/2
   明太子・・・・・・・・・・・40g

(1)明太子は膜をとり、ほぐす。

(2)糸こんにゃくは茹でて適当な長さに切り、から煎りする。

(3)こんにゃくを油で炒め、調味液を入れ1/3の量になるまで煮詰め、明太子を入れて煮汁がなくなくまで煮る。

《簡単変わり厚焼き卵》
■材料/4人分
   卵・・・・・・・・・・・2個
   だし汁・・・・・・・・・大さじ1
   砂糖・・・・・・・・・・大さじ2/3
   塩・・・・・・・・・・・少々
   味付けサンマ(缶詰め)・・・3切れ
   油・・・・・・・・・・・・・小さじ2

(1)フライパンに油を薄く引き、サンマの両面を焼く。

(2)卵をよく溶いたあと万能こし器でこし、調味する。

(3)卵焼き器を熱し、薄く油をひいて卵液を1/3量流し入れ、かきまぜながら手前によせる。ふたたび薄く油をひき、残りの1/2量の卵液を入れ、?のサンマを一緒に入れて手前から向こうに巻きよせ、最後に残りの卵液を全部入れてもう1回巻いて仕上げる。

*厚焼き卵は、3回に分けて流し込むときれいに焼ける。

4月  April 卯月
●二十四節気
 5日 清明
20日 穀雨

●旬の味覚
魚介類・・・鯛、カレイ、サワラ、あさり、ヒラメ、イカ、しらす干し野菜類・・・ごぼう、ふき、キャベツ、アスパラガス、わらび、
      木の芽、たけのこ、椎茸
果物類・・・いよかん、はっさく

●行事
 1日(土)   エイプリルフール
  8日(土)   灌仏会(花祭り)

参考文献 
参考文献 「わが家でつくる旬の味/西日本新聞刊」「現代新百科辞典/学研」「俳句歳時記/角川書店刊」「にほんのにほん/ベルメゾン」