タイトル「世界の食知識」

 中国料理とひと口にいっても、代表的な料理に広東風、四川風、台湾料理、北京料理があるのをご存知でしょうか。
 その中でも最もポピュラーな料理として日本人に人気のある麻婆豆腐。
 麻婆豆腐や坦々麺など辛い味つけの料理は、四川風と呼ばれる中 国料理です。  

 麻婆豆腐の麻婆は、“アバタ顔のおばさん”という意味なのだそうです。というのは、この料理を考案したのがお料理上手の陳さんという女性だったからなのです。
 この陳さんははじめは普通の主婦でしたが、彼女が作る美味しい料理は人々の評判とな り、ついには料理屋を出すまでになりました。
 このお店は現在も営業を続けていて、 四川省成都市に「陳麻婆豆腐店」という名前で看板が出ているそうです(平成5年現 在の情報のため、今もあるかどうかは定かではありませんが、まだ営業していてほしいものです)。  

 ところで日本で食べている麻婆豆腐は、中国では一般的には麻辣豆腐と呼ばれてい ます。なぜかというと、この料理を麻婆豆腐と呼ぶことができるのは、中国中を探してもただ1軒、この料理を考案した「陳麻婆豆腐店」だけだからです。
 
 では、どうして日本では一般的に麻婆豆腐と呼ばれているのか・・・・。理由ははっ きりわかりませんが、麻婆豆腐を日本に伝授した人がその料理本来の名称をきちんと伝えたかったからなのかもしれません。


日本の麻婆豆腐は、唐辛子の辛さだけを加えますが、本来は唐辛子と山椒をたっぷり加 え、ニンニクの葉を散らして濃厚な味に仕上げるのが本場の四川風です。
《本場の四川風麻婆豆腐の作り方》

■材料/1皿分
  木綿豆腐・・・・・・・・・1丁
  牛肉・・・・・・・・・・・100g
  豆板醤・・・・・・・・・・適宜
  山椒の粉・・・・・・・・・少々
  蒜苗(ニンニクの葉)・・・適宜
  中華スープ・・・・・・・・適量
  醤油・・・・・・・・・・・適宜
  水溶き片栗粉・・・・・・・適宜


■本場麻婆豆腐のレシピ
(1)
豆腐はさいの目に切り、あらかじめボイルしておく。
(2)
鍋に油を注ぎ牛肉を炒め、色が変わったところで豆板醤を炒めて油に香りを移す。
(3)
ここにスープと豆腐を加え、醤油で味を整えて2〜3分豆腐が崩れないように中央 で煮込む。
(4)
スープが煮詰まってきたら、蒜苗(ニンニクの葉)を加えてすぐに水溶き片栗粉で クズ引きし、仕上げに油を加える。
(5)
皿に盛り付けて、山椒の粉を振って風味を添えれば出来上がり。


*調味料はメーカーによっても味が異なるのでお好みで調整してください。

『世界の食知識』は12 回シリーズの連載です。

※参考文献「食の文化話題辞典/ぎょうせい」「おいしさの科学 味を良くする科学/旭屋出版」「グルメの哲学/丸山学芸図書刊」 
 
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