参考文献
臼杵の殿様暮らしと食
(大分合同新聞社)

 

第8回 年中行事と食べ物「ひな祭り」

 雛節句(上巳の節句)
 
 3月3日は雛まつりである。
 
 稲葉家では、姫君や結婚後はじめての奥様が上巳に雛節句を行っている。菱餅や白酒、はまぐり、わけぎ(ひともじ)、雛菓子、みりんなどが供えられる。
 雛節句のお祝いとしては、親戚や家臣から雛人形や貝づくし、白酒などが贈られた。

献立  


献立の写真

【お雛様のお祝い御膳】
<1.御重>
一の重
 はりはり
二の重
 煮しめ
三の重
 うすかわ
四の重
 おまん

<2.蛤吸物>

<3.硯ぶた>
 九重かまぼこ
 和らか煮あわび
 小串さわら
 梅花玉子
 田夫竹子
 ゆば青昆布いり
 ちとせ勝栗
 包みれんこん
<4.鉢肴>
 笹やき鯛
 船盛伊勢海老
 茶巾ゆり根
 辛味漬花菜
 もやし生姜
 
<5.酒>
<6.煮しめ>
<7.餅菓子>
 椿餅
 

 

 3月3日は、五節句として御祝御膳が用意されていました。


 雛が飾ってある期間は、毎日雛様へ二汁五菜の御膳が供えられ、雛を見物にきた人々にはお菓子を振るまっておもてなししていました。
 雛節句には菓子が多いのは今も昔も共通するところです。

 雛をしまうのは3月6日と決められており、雛飾りをしまう前に、雛に蕎麦切を供る風習があり、しまった後、一同で蕎麦を食べたそうです。


   雛菓子
 
 雛菓子の写真女の子の節句であるから、雛節句には菓子が多い。
四段重ねの御重を雛段に供える。

一段目は鶉(うずら)焼、紅いまさか、饅頭、煮しめ。

二段目は羊羹、腰高まん、黄餅、煮しめ、煮しめ。

三段目、干菓子、黄白饅頭、羊羹、煮しめ。

四段目、薄雪、ういろう餅、梅雪、煮しめである。この当時の御重には菓子と煮しめが一緒に詰められていた。


   菱餅
 
 菱餅の写真当時は長さ一尺(約30センチ)もする菱餅が供えられたりした。さぞ大きな雛段だったと思われる。また菱餅の色は、白と草色の二色だけでした