日本人は奇数を大事にするといわれています。お祝いには奇数のお金を包み、偶数は「ふたつに別れる」ことから縁起が悪いと考えられ、偶数のお金は包まない方がいいとされてきました。

 それは料理の世界でも同じ。特に「五」という数字は、和食の世界にとって切っても切れない関係があります。「五法」「五味」「五色」「五適」「五覚」という5つが、和食に欠かすことのできないものなのです。

 まず「五法」とは、生(切る)、煮る、焼く、揚げる、蒸すという5つの方法のこと。生(切る)は刺身、煮るは煮物、焼くは焼き物、揚げるは揚げ物、蒸すは蒸し物という5つの調理法のことで、会席料理にはこれらの5つのお料理が必ず並んでいます。

 つぎに「五味」とは、いうまでもなく味覚のことです。甘い、塩辛い、酸っぱい、苦い、辛いの5つに分類します。盛り付けに関係するのが「五色」。白、黒、黄、赤、青(緑)の5色で、白は清潔感、黒は引き締め、黄と赤は食欲増進、青(緑)は安心感を表す色として考えられています。黒塗りのお盆や朱塗りの椀などの器や、添えられる葉や花などの演出もこれに通じるのではないでしょうか。

 つぎに大切なのは「五適」。適温、適材、適量、適技、適心を表します。適温は熱い料理は熱く、冷たい料理は冷たく適温で供すること、適材は食べる人にとって適当な素材であるかということです。適量は文字通り、適当な量であるかどうかという意味。適技は技法に凝り過ぎずかといって無愛想でもいけないという意味です。適心とは、インテリアのことを指し、料理だけでなく玄関から部屋までもてなしの心を表します。

 最後に「五覚」とは、五感のことです。視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚という五感をフルに使っておいしいお料理を味わうという意味です。

 以上のようにもてなす側といただく側の「五」がハーモニーを奏でることで、最高においしい和食と出会えるのかもしれません。


※参考文献「現代新百科事典/学研」「にっぽんの食物誌/講談社刊」「グルメの哲学/丸山学芸図書刊」