蕎麦は、ソ連のバルカン湖付近からインドや中国の北部にかけてが原産地。日本に伝来したのは奈良時代で、養老6年(722)の大飢饉の時に勅命によって栽培を奨励された記録が残っています。

 “年越しそば”“引っ越しそば”“縁切りそば”“勘定そば”“薬師そば”“冬至そば”…。なんにでもそばをくっつけて縁起をかつぐのは、どうやら江戸時代に起因しているようです。というのは、江戸時代にソバは金を集める縁起の良いものとされていたからなのです。なぜかというと、大晦日に金細工の職人さんたちがソバがきを丸めて焼き、その粘り気を利用して飛び散った金の粉を集めるのに使っていたからなのです。
 
 さらにその後ソバ切りがはじまり、「末長いおつき合いを」と引越しそばの風習が生じました。また、元禄時代に天候が良く豊作だった年に、どうぞ来年も良い年が続くようにと、長いソバを食べたことから年越し蕎麦がはじまったとも言われています。

 年越し蕎麦は、細く長くを願って食べるようになったものですが、ソバは切れやすいので、旧年の苦労や災いをきれいさっぱり切り捨てるという意味もあり、“縁切りそば”“年切りそば”“勘定そば”などの言葉があるのはそのためです。大晦日には、蕎麦を残さず食べて旧年の因縁をたち、延命長寿を願いましょう。


※参考文献「旬の食彩屁百景/時事通信社刊」「にっぽんの植物誌/講談社刊」「グルメの哲学/丸山学芸図書刊」