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例年のおうはんとおさしみにて年越し。父さん(夫)へもお供えする。Sも割に早く帰って一緒に食卓に着く。正子も今日また入浴させる。とにかく一家病人なく生活的にも余裕を持ってこの年を送ることが出来るのはありがたい。
お金は一切合切で百万はある。もとの一万円そこそこならんしかし渡辺町の時の私の希望は一万円貯えがあれば十分だと言っていたのに、なかなかそれが可能ではなかった。ひとり残されてもとの家にも住まわれず、今後の暮らしのことも案じられる未亡人が多い中に----戦争未亡人の場合は悲劇そのものである----こうして生きていける喜びを思うに付けても、仕事を怠ってはならない。
夕食後モキのところへSと行き、ラジオをきく。三木鶏郎なる人の日曜娯楽版なるものを初めて聞いた。落語家や漫才には持たない機智と感性の生新は買って良い。
一年の回顧に並べられた事件をつぎつぎに考えてみても、今年は多事この上なく、また来るべきものへさまざまな芽を蔵している点で一種の時限爆弾ともいうべき年であった。これが不発に終わらないで済むことがひたすらに念じられる。
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