豊後の怪力男
素手で作った土俵
「よし、分かりました。家来ども、すぐに大きな竹を一本庭に持ってまいれ。」と命じました。相撲とりたちは、何をするのだろうと顔を見合わせました。そして、
「我々が望んでいるものは相撲ですよ」
と一番強そうな相撲取りが言うと、
「ええ、いいですよ。何しろ、相撲の本場の大阪から来られたあなた方と相撲を取るとなれば、見物人で一杯になるでしょう。そこでこの竹で土俵を作ろうと思うのです。」というや、直径が20センチもあろうかという大きなもうそう竹を、何の道具も使わずに「バリッ、バリッ。」と手で二つに割っていくではありませんか。そして、竹の元とはしを結び合わせて、大きな輪を作ってしまいました。