11月1日を中心とする正月行事が行われるようになったのは奈良時代から。民間のお正月は、古くは豊作を祈願する儀式として行われたのにはじまり、しだいに新年を祝う正月行事へと変わっていきました。

 門松、しめ飾り、鏡餅とお正月に欠かせないものはいくつかありますが、その中のひとつにおせち料理があります。今は、デパートの食品売り場や飲食店などで買って食卓に並べることが多くなり、ちょっと淋しい気がします。

 ところで、おせちの代表的なお料理に意味があるのをご存知ですか?おせちに必須の「田作り」「数の子」「黒豆」は三種の肴と呼ばれています。

 「田作り」は甘く煮たごまめのことで、文字どおり田んぼでお米がたくさん収穫できるようにとの願いが込められたています。「数の子」は子孫繁栄、「黒豆」はまめに働けるように健康を願って、昆布巻はよろコンブのごろ合わせ、など料理ひとつひとつに意味が込められているのです。

 元旦の朝は、まずお屠蘇からはじめましょう。お屠蘇は千年も前に中国から伝わった習わしで、長寿を願う漢方酒。屠蘇散といって、ユリ根や山椒、桔梗、忍冬、防風などの漢方を調合してお酒とみりんを合わせたもので、年下から順繰りに呑むというしきたりがあります。

 つぎに、おせちに箸をつける前にお雑煮を。そして最後に、おせち料理をいただくのが由緒正しい習わしです。

千年の節目にあたる今回のお正月、もう一度日本の良き習慣としておせち料理やしきたりを見直して、厳かに新しい年を迎えてみてはいかがでしょうか。



◆一の重(祝い肴)
◆二の重(口取り)
◆三の重(焼き物)
◆与の重(煮物)
◆一の重(祝い肴)の例
<田作り>

材料

  • ごまめ・・・・・・・・・・25g
    <調味液>
  • しょうゆ・・・・・大さじ1+1/2
  • 砂糖・・・・・・・大さじ1+1/2
  • 酒・・・・・・・・大さじ1
  • 赤唐辛子・・・・・・1/2本
  • けしの実・・・・・・少々

作り方

  1. 天火を140〜150度に熱し、天板にごまめを広げ、時々動かしながらカリッとするまで焼く。
  2. 鍋に調味液を入れ、少々煮詰める。その後、唐辛子と一緒にごまめを入れてからめる。
  3. 熱いうちにけしの実をふりかける。
    *唐辛子は熱湯に塩少々を入れた中にしばらく浸し、しんなりしてから使う。

<数の子>
材料

  • 数の子・・・・・・・200g
    <つけ汁>
  • だし汁・・・・・・1/2カップ
  • しょうゆ・・・・・大さじ1
  • みりん・・・・・・大さじ1

<かけ汁>

  • 薄口しょうゆ・・・大さじ3
  • 酒・・・・・・・・大さじ1
  • みりん・・・・・・小さじ1
  • 酢・・・・・・・・少々
  • 七味唐辛子・・・・・適宜
  • かつお節・・・・・・適宜

作り方

  1. 数の子を塩抜きする(一晩水に漬けたあと、よく水洗いして米のとぎ汁に4〜5時間漬ける)。
  2. かつお節を鍋でから煎りし、細かくもむ。
  3. 1.の数の子の皮をきれいにとり、つけ汁に漬け込む。5〜6時間後に適当に手で分け、かけ汁と七味唐辛子、かつお節をかける。

<黒豆ぶどう煮>
材料

  • 黒豆・・・・・・・700g
  • ぬるま湯・・・・・10カップ
  • 砂糖・・・・・・・400g
  • しょうゆ・・・・・1/2カップ
  • 重曹・・・・・・・小さじ2/3
  • くぎ・・・・・・・数本
    <薬味>
  • 生姜汁・・・・・少々

作り方

  1. 黒豆は洗って水けを切る。
  2. ぬるま湯の中に砂糖、しょうゆ、重曹を入れて溶き、黒豆を入れて8〜10時間漬ける(竹の皮か、古くぎを2〜3本結んで入れる。ナスの干皮でもよい)。
  3. 2.を火にかけ、ひとふきした阯アクをとり、弱火で煮る。似ているあいだは、お湯が豆 より1〜2センチ上にあるように補う。豆が柔らかく煮えたら火をとめ、一昼夜置いて 味を含ませる。食べる時に生姜汁をそえる。

<昆布巻き>
材料

  • 野菜昆布・・・・・・10本(幅7センチX12センチ)
  • サバ・・・・・・・・120g
  • かんぴょう・・・・・約2本
  • 水・・・・・・・・・2カップ(昆布のつけ汁)
  • 酢・・・・・・・・・大さじ1/2(または梅干)
  • 酒・・・・・・・・・大さじ3
  • しょうゆ・・・・・・大さじ2
  • 砂糖・・・・・・・・大さじ2+1/2
  • みりん・・・・・・・大さじ1/2
  • 赤唐辛子・・・・・・1/2本

作り方

  1. 昆布は洗って水にしばらくつけてから切る(つけ汁はとっておく)。
  2. サバは昆布より短く切って10等分する。
  3. サバを芯にして昆布で巻き、かんぴょうで結ぶ。鍋にBを並べて入れ、昆布のつけ汁をかぶるくらいに注ぎ、赤唐辛子、酢、酒を入れて 過熱する。アクをとり、40分ほど煮て柔らかくなったら砂糖、しょうゆ、みりんを入 れ、弱火で煮汁がなくなるまで煮る。


1月  January  睦月
●二十四節気
6 日 小寒
20日 大寒
●旬の味覚
魚介類・・・・イワシ、カキ、わかめ、タコ、ナマコ、カレイ、コハ
       ダ、メバル、ブリ 
野菜類・・・・小松菜、白菜、大根、ほうれん草、かぶら、カリフラ
       ワー、春菊
果物類・・・・きんかん、ゆず、みかん
●行事
1 日(月)元旦 
7 日(水)七草・七草がゆ
11日(木)鏡開き
15日(金)成人の日

参考文献 
参考文献 「わが家でつくる旬の味/西日本新聞刊」「現代新百科辞典/学研」「にほんのにほん/ベルメゾン」「旬の食彩百景/時事通信社刊」