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ナイフやフォークの扱いが難しい西洋料理にくらべると、気楽に食べられる中国料理。
 
 日本人にとってはお箸で食べることができるので、緊張せずにいただけるお料理です。
 しかし、円卓を大勢の人で囲んでいただくという形式のため、いくつかの注意点を知っ ておく必要があります。

  中国料理は、ひとつの大皿に盛られたお料理をそれぞれが取り分けて賞味する集餐方式が基本になっているため、食卓の作法も同席者同士が気分よく和やかに食事を楽しむことに重点がおかれています。
 
 まずは席順です。日本間でいうと床の間を背にするような位置、つまり落ち着いた一番奥に主賓にあたるお客さまが座ります。
  向い側はお客様を招待した主催者の席。 主賓の左右は主賓に準ずるお客さま、主催者の左右は主催者にとって気のおけない親戚や友人の席になります。
 レストランでは、招いた人がみずから料理を取り分けなくても給仕してくれる人がサービスしてくれることが多いですが、その場合はまず主賓からすすめます。
 そして、 主賓の人が箸をつけてからみんなで箸をつけます。
 また各自が自由に取り分ける場合もまず主賓から。飲み物などを決めるのも主賓の意見をきいてから注文しましょう。
 立場が明確ではない会食も多いですが、厳密なルールではないにしても地位の上下や年長順といったことを頭に入れておくといいでしょう。
 回転台を使うときは、取り分け用のスプーンなどの柄がはみ出さないように注意し、 向にいる人がお料理を取ろうとしていないかどうか良く確認してまわすようにすることが大切です。

 人数を考慮して好物の料理を取り過ぎたりしないように注意しながら、 和やかに中国料理をいただきましょう。
■中国料理の定番・炒飯をおいしく作るコツ
(1)
野菜は極力入れない。ねぎ以外は色どりていどの野菜を使用する。
(2)
風味が増しておいしくなるように海老・カニ・貝柱など旨味のある材料を何種類も加える。
(3)
卵は半熟状態でご飯を加えて一緒に炒めると、生の卵がご飯をほぐす働きをして固まらない。
(4)
卵を炒める時には思いきって油を多めに使う。
(5)
最初から最後まで強火で炒める。
(6)
塩がもう一歩足りないと思うくらいの塩の量にし、塩を加えすぎない。
(7)
かならず最後にねぎのみじん切りを加える。


『世界の食知識』は12 回シリーズの連載です。

※参考文献「食の文化話題辞典/ぎょうせい」「おいしさの科学 味を良くする科学/旭屋出版」「グルメの哲学/丸山学芸図書刊」