世界の食知識

Vol.5 合鴨ってアヒルのお肉?
メリークリスマス  
 時は寒い冬。
 鍋料理がおいしい季節です。

 鍋料理はポピュラーな家庭料理ですが、 海岸部ではぜいたくに魚介を入れたり、寒い地域では味噌味だったりと地域色が出やすいのが特徴です。

 地域性と関係があるのかどうかはわかりませんが、ここ数年、温泉地の旅館や和食のお店でよく鴨鍋をみかけるようになりました。鴨といえばこれまで、鴨のテリーヌや鴨のステーキといったフランス料理でしか馴染みがなかった食材です。

 ところで、鴨の肉に2種類あるのをご存知でしょうか?
 ひとつは野生種の真鴨、もうひとつは交配によってつくられた合鴨です。合鴨は、真鴨にアオクビアヒルという日本種の肉食用のアヒルを交配したもの。アオクビアヒルは真鴨によく似ていて、味が良いことで知られています。

 真鴨は、多くは渡り鳥で、秋からの狩猟のシーズンにしか手に入りません。
 また、 そのほとんどは、高級フランス料理店や料亭などに売られています。そこで、広く鴨料理に使える食用の鴨として合鴨がつくられるようになったのでしょう。いうまでもなく、真鴨は飼育された鴨にくらべるとそのおいしさは比べものにならないほど。身が赤くて脂肪も少なく、独特の風味があります。真鴨を使った高級なお料理は、機会をつくってレストランや料亭でいただくことにしましょう。

 12月に入ると、すぐにクリスマス。クリスマス料理の定番は七面鳥ですが、日本では七面鳥が手に入らないため、鶏肉で代用する人も多いのではないでしょうか。最近では、スーパーでも手軽に買えるようになった合鴨。
 今年のクリスマスは、合鴨のステーキをつくっていつもとひと味違うクリスマスディナーと洒落込んでみてはいかがでしょうか。
■鴨胸肉のステーキ&蕪添え
《材料》  鴨の胸肉・・・・・・・・・300g
      フォンドボー・・・・・・・300cc
      白ワイン・・・・・・・・・50cc
      蕪・・・・・・・・・・・・90g
      砂糖・・・・・・・・・・・少々
      サラダ油・・・・・・・・・適宜
      しめじ・・・・・・・・・・2分の1パック
      マッシュルーム・・・・・・30g
《下ごしらえ》
   鴨肉は余分な脂と筋を取りのぞいておく
   蕪は皮をむき、3mmくらいの厚さに輪切りする
   マッシュルームは2mmくらいの厚さに切っておく
(1)
サラダ油とバターを入れ、塩、コショウした鴨肉を皮の方からこげ色がつくまで焼 く。 返して焼き、肉を押して弾力が出てきたら取り出して保温しておく。
(2)
水を入れた鍋に蕪を入れ、バター20g、砂糖を加えて煮詰める。水分がなくなり、 艶が でるまで煮たら、ソースへ入れておく。
(3)
しめじとマッシュルームをバター20gでしんなりするまで炒め、塩、コショウする。
(4)
お皿に、ソースを流し、鴨のスライスを上に並べ、まわりに蕪としめじとマッシュ ルー ムのソテーを置いて出来上がり。
《ソースの作り方》
(1)
白ワインを入れて煮詰め、ドロリとしたらフォンドボーを入れ、少し煮詰める。
(2)
別の鍋にこして、塩、コショウし、バター20gを入れてまぜ込む。


『世界の食知識』は12 回シリーズの連載です。

※参考文献「食の文化話題辞典/ぎょうせい」「おいしさの科学 味を良くする科学/旭屋出版」「グルメの哲学/丸山学芸図書刊」「現代新百科辞典/学研」  
 
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