世界の食知識

vol.7 ペルシャ高原が原産のほうれん草
イラスト  
 ほうれん草はペルシャで栽培が始まり、15世紀以降に回教徒によって東は中国、西はヨーロッパへと伝えられました。
  このため、ほうれん草には東洋種と西洋種の2種類あります。
 
  西洋種は葉が肉厚で土臭いため、おひたしには向きません。
  いっぽう東洋種は葉が薄く甘みがあり、根の部分の赤みが強いのが特徴です。
  今では、この2品種の長所だけをかけ合わせたほうれん草が出まわり、ほとんどこの品種が占めるようになりました。

  日本には江戸時代初期に中国から伝わり、アメリカへは19世紀初頭に普及し、1915年から缶詰めの製造がはじまったことで大規模な栽培がはじまったようです。
  ほうれん草は、タンパク質に富んで栄養価が高く、葉緑素や鉄分、その他の無機成分、葉酸などを多く含んでいます。またビタミンAとカロチンはニンジンの2倍、ビ タミンCはレモンの2倍、ビタミンB1、B2、カルシウムなどを含み栄養素に優れた野菜です。
  造血作用や酸性化を中和する作用もあり、冬季の健康増進にぴったり。
  一時期、蓚酸(シュウサン)を多量に含んでいるため、たくさん食べ過ぎると腎臓結石に なる恐れがあるといわれていましたが、よく茹でることで大部分の蓚酸が除かれるため人体への影響はありません。
  最近では、蓚酸がほとんどないサラダ用のほうれん草も栽培されるようになりました。
  この品種は生のままサラダにして食べてもおいしいし、バター炒めにしてもおいしくいただけます。
■ほうれん草のキッシュ
《材料/パイ生地》 
      ◆ 薄力粉・・・・・・・・250g
      バター・・・・・・・・125g
      塩・・・・・・・・・・5g
      卵黄・・・・・・・・・1コ
      水・・・・・・・・・・50cc
《材料/キッシュの中身》
      生クリーム・・・・・・150cc
      牛乳・・・・・・・・・100cc
      卵・・・・・・・・・・1コ
      ベーコン・・・・・・・100g
      ほうれん草・・・・・・1束
      グリエールチーズ・・・ 50g
      ナツメグ・・・・・・・少々
《パイ生地の作り方》
(1)
ふるった薄力粉に塩を混ぜ、小さく切ったバターを手でこすり合わせながら混ぜ込 む。
(2)
よく混ざったら、卵黄と水を混ぜて加え、練らないように混ぜる。
(3)
(2)をラップに包んで冷蔵庫で3時間くらい休ませる。
(4)
休ませたパイ生地を麺棒で3mmくらいの厚さに延ばし、21cmのパイ型にはって紙を敷き、重しをして180℃のオーブンで焼く。
(5)
軽く色付いたら重しを取って空焼きする。
《キッシュの作り方》
(1)
茹でたほうれん草の水気をよく切ってバターで炒め、軽く塩、コショウする。
(2)
ボールに卵を溶き、牛乳、生クリームを混ぜ、塩、コショウ、ナツメグを控えめに 入れる。
(3)
ベーコンは細かく切って湯がいておく。
(4)
焼き上がったパイの底にほうれん草を敷き、ベーコンを散らし、(2)のキッシュ生地 を流し込む。
(5)
おろしたグリエールチーズを上からかけて160℃のオーブンで焼き上げる。


『世界の食知識』は12 回シリーズの連載です。

※参考文献「食の文化話題辞典/ぎょうせい」「世界の料理辞典」「グルメの哲学/丸山学芸図書刊」「現代新百科辞典/学研」  
 
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