参考文献
臼杵の殿様暮らしと食
(大分合同新聞社)

 

第10回 年中行事と食べ物「端午の節句」
 五月五日は端午の節句です。
 
 日本の年中行事は中国の故事に由来するものが多く、端午の節句にちまきを用いる風習もそのひとつです。軒に菖蒲・よもぎを刺し、ちまきを食べて、端午の節句をお祝いしました。
 稲葉家では殿様、奥様、若殿様、姫様とそれぞれ用にちまきが五本ずつ用意されていたようです。
献立  
ちまきの写真 【ちまき】

ちまきは古くからあるお菓子ですが、柏餅は宝暦の頃(1751〜)より売られたとされています。稲葉家の日記(享和元年・1801年)には、ちまきと柏餅の両方が用意されていたと記されています。

 稲葉家の江戸屋敷では、出入りの御用菓子司壷屋にちまきを注文して作らせていて、その数は二百個、半分はみそ(アン)との記録があるほどで、いかに端午の節句を大勢で祝っていたかが想像されます。

 五月五日は五節句のひとつで、食事には御祝御膳が出されました。

<献立:端午の祝膳>
一汁五菜 ちまき 柏餅