フンドーキン

MENU

知る・楽しむ  Learn and have fun

塩のお話

塩

人間にとって大切な調味料といえば塩。人体が生理作用を営むのに不可欠のもので、 古代人類は食塩を手に入れるために交易ルートを作ったり、貨幣として使った地域もあったほどです。
塩は、清浄・不変・結合といった神聖性をそなえているものとして、古くから神秘的に考えられてきました。古代エジプトでは、ミイラを作るのに死体を塩水に浸したそうです。これは塩の防腐力が、死体保存の呪術的役割を果たしたからといわれています。エジプト人やイスラエル人、ギリシャ人は、神への供え物に塩をふりかけ、それによって神を喜ばせたり、なだめたりすることができると考えてきたのです。
『旧約聖書』にある<塩の契約>は神と人間、人間同士の不変の結合を説いたもので、この考え方は社交にも取り入れられました。
それで、ヨーロッパでは塩とパンで人を遇することが歓待の印しとされていたのです。
日本でも塩はお浄めに用いられ、汚れを払い去る不思議な力を持つものとして神聖視されています。古くは、農家では囲炉裏の火を浄めるのに塩をまき、町家では毎朝、入口に塩盛りをしてきました。西日本の海辺の村では毎朝、御潮斎といって小さな桶に海水をくみ取り、それを門口にかかげておく地域もあるそうです。
今でも、お葬式から帰ったら、家に入る前に塩をふりかけたり、入口に塩盛りしているお店を見かけたりします。
また面白いのは、食料としての塩の貴重性と人間の精神におよぼす影響とが結びついて比喩的な言葉が生まれたことです。たとえば抜けている人のことを<塩足らず>といい、四国や関西の地方では、娘さんを京阪神へ女中奉公にやることを<塩ふみ>と言うのだそうです。
ところで、天然の塩といえば海水から採れる海塩と、塩の鉱床から採れる岩塩。しかし日本では岩塩が採れないため、縄文時代後期から塩田による製塩が行われていました。
現在は、ほとんどが工場生産ですが、スーパーでも食塩の値段は多岐にわたり、今は天然の塩なども販売されています。また塩は、冷蔵庫がない時代には食材を塩漬けして保存するのに使われていました。漬物や塩鮭などは、その名残りといえるでしょう。

味つけ以外の塩の使い方

  • 魚介類を調理するときに、10%前後の食塩水に5~10分浸けておくと、魚肉のタンパク質が凝結し、身くずれせずに料理がきれいにできあがります。
  • 野菜を茹でるときに塩を少量加えると、野菜の色艶がよくなります。
  • お豆腐を茹でるときに少量加えると、やわらかくなります。
  • 卵白を泡立てるときに塩を加えると泡立てやすくなります(目安は卵白カップ1杯に対して塩は小さじ1/4)。

pagetop