味噌のルーツは中国にあります。
中国では古くから獣や魚の肉や骨に塩を加え、つぼに浸けてソースのようなものを作り、醤と呼んで料理の味つけに使っていました。その後、これに大豆、麦、こうじを加えるようになり、味噌状の硬めのものになったようです。
中国の醤は日本に伝わり、奈良時代にはさまざまなものが作られるようになりました。しかし仏教が伝来し、肉食禁止令(675年)や殺生禁止令(721年)が発令され、醤は 植物性になり、こうじで大豆、米、麦を発酵させてうま味を出すものに変化。平安時代の中期に発行された『延喜式』には「未醤」(みそ)という字が出てきますが、その後、味噌という字に変わったようです。
鎌倉時代に入ると、味噌が常食されるようになりました。
鎌倉時代は一汁一菜主義だったため、一汁として味噌汁が食されていたからです。味噌は大豆のタンパク質が消化されやすい形に分解され、しかも米に不足するアミノ酸を補うため、日本人の食生活に最適だったのです。
古くは、醤油が上流階級の調味料だったのに対し、味噌は庶民の調味料でした。江戸時代には500以上もの味噌蔵があり、各地方の食習慣や風土と結びついた独自の味噌が製造されるようになりました。
代表的なものに、赤褐色の米味噌の『仙台味噌』 、甘めの米味噌『江戸味噌』、赤い味噌に白い米こうじが入った『越後味噌』、黄色っぽい米味噌の『信州味噌』、うま味が強い暗褐色の『八丁味噌』、京都で生産される白味噌の『西京味噌』があります。
意外にも、味噌を隠し味に使うと、イタリア料理がぐんと美味しくなるというのをご存知でしょうか。
例えば、トマトソースなどのスパゲティソースに少量加えるという使い方があります。味噌がなぜトマトソースと相性が良いかというと、同類のアミノ酸=グルタミン酸が多量に含まれているからです。
グルタミン酸はチーズにも多く含まれた成分で、トマトやチーズを使う料理に味噌を上手く取り入れると、オリジナリティーのあるソースを作ることができます。
ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
まず味噌、砂糖、水、酒をかき混ぜてタレを作ります。
このタレをショウガの薄切りと一緒に煮立ててからサバを入れて煮詰めます。
あとは、焦げないように鍋をゆすって仕上げるだけ。
比較的簡単なお料理ですが、さらに美味しく仕上がるポイントがあるのです。
それは、煮はじめる時にタレの4分の1を残して、サバが煮詰まったところで鍋に加えるという方法です。煮詰まった味噌に新鮮な味噌が加わって、風味がいっそう引き立ちます。
また網で焼いたネギを加えると、見た目も華やかになり、さらに豊かな香りが楽しめます。