戸時代末期。臼杵藩のお殿様は稲葉家がやっておりました。稲毛家はだいたい5万石の外様大名です。
 皆さんもご存じの通り、諸大名には参勤交代という制度があり、諸大名は2組に分かれて1年おきに江戸と故郷を行ったり来たりしておりました。臼杵藩の場合、参勤交代は4月と定められていました。
 
 回ご紹介する献立は、江戸に赴いていたお殿様が、臼杵のお城に戻ってきたときに用意する、お迎えの献立です。
 献立は以外に簡素ですが、これは幕末になって規式などが簡略化されてきたためと思われています。
 献立は一汁三菜に引キテとして三品の料理、菓子につづいて間の菓子、さらに後段として場所をかえて一汁四菜、夜食として一汁三菜が出され、 昼頃から始まった祝宴は夜にまでおよんだそうです。


 なますとさしみは、魚介類を生食する料理で、本膳料理の最初に出されるものである。
 ここでは、鯛、もみ冬瓜、重かん、花しょうがである。醤油が普及するようになる江戸時代後期までは、調味料にはいり酒が用いられた。いり酒とは室町末期からある調味料で、古酒に鰹節、梅干し、少しのたまり(醤油)を入れて煮詰めた物である。

 後段の中の鉢物である。
 ここでは、蒸し鮃(ひらめ)、花海老、ゆり根、春菊、きんかんである。ひと通りの食事のあとの肴である。