参考文献
臼杵の殿様暮らしと食
(大分合同新聞社)

 

第13回 年中行事と食べ物「中元・生身玉」

 お中元とは、一月十五日を上元、七月十五日を中元、十月十五日を下元とする節日のことで、中国に由来する行事でしたが、現在では中元のみが行われています。

献立
【中元】

中元、蓮飯と刺鯖の写真

 稲葉家の日記によるとこの日は、蓮飯(れんはん)と刺鯖(さしさば)を贈りあっていたようでした。蓮飯にはこわ飯を蓮の葉で包んだものと若い蓮の葉を刻んで飯に混ぜ塩味を付けたものの二通りがあります。

 刺鯖は鯖の干物であるが、能登のものが有名でした。
 また、この日贈り物をすることも行われて、その風習だけが今に残されています。
献立
【生身玉(いきみたま)】
いきみたまとして贈る鯉の写真  生身玉とは、七月十五日に行われた行事で、この日は生きている親に対して生肴を贈る習慣がありました。鯉を贈った記録もあります。

 この行事は、盂蘭盆絵(うらぼんえ)に死者の霊魂が来るのに対したものとされ、江戸時代には庶民の間においてもかなり行われていました。