午前階下の部屋より病床を二階に移す。父さんはますます快く、床にはあまり横はらないほどになり、顔をあたつたり、シクラメンを写真したりする。押入れの着物類を乾かす。それらの不行届な手入れを見て、父さんが可哀さうになり、涙ながる。 朝食前にたき子さんに返事を書く。東京に家をもつ事をだんだん本気に考へるやうになつた。初夏のやうなむし暑さの為か三千子夜中に泣きわめきて不眠。