早起きしてご飯をたき、おみおつけをたきすっかり支度出来たところへみんなが揃ってついた。父さんが考えていた以上に元気な様子になったのもうれしいことである。三千子春よりはまたずっと成長して手がかからず、Y・Mもなかよくたのしさうでこれもうれしい。朝食は御飯におみおつけに、ヤマメの煮びたし。おヒルはパンもすっかり用意してあり久しぶりに食事毎ににぎやかに話してたべた。松崎さんが午後注射に来てくれる。片山夫人玉子五つ持参。
角の家は浄水装置の修繕はすでにすみ、今日あたりから屋根裏の直しで大工たちがはいるらしい。
修繕といへば早速数人のそれぞれの専門の職人がそろってくるのも、父さんの今の地位 のおかげである。窓掛けやコタツのヤグラをもつて行つてしまったとの事は約束ちがひとの話。しかし窓掛けは竜村の手で却つてよいものが入手されるとのこと。近くに小山さんも家を買つた。もと中野セイ吾のいた家。応接や客間だけおそろしくきらびやかな成金趣味の家とのこと。地つきで百五十万。それに比べれば土地なしでもうちの方がずつと感じよく出来ているとの批評也。夜は疲れて眠くて眠くて床についたのが、そのあとも家の話つづいておそくまでおきていた。あの家に気もちよく住んでいくことには父さんにも深い悦びであるらしい。
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