東京に引きあげにつきトラックの手配その他の打ち受けのため大雨の中を長靴外套で駅へ行く。こう決心するとすぐ実行に移すことが出来るのは小手川家の伝統であり、また私の体力と意力の衰えない証拠である。
安東は長野原行きにて不在。しかし河口によりトラックも手配し、箱も作り、荷造り万端がYたち滞在中までにできることになる。そうすれば父さんがSとミションと先ず出立したあと、私と松井で積み出しの荷物を支度し、トラックが来た時、耀三たちがその積みこみをカントクすることにすれば最善の方法である。
広田夫人とよし子さんに出逢い、アメリカに出してくれた小包料の残金をもらう。建具屋により雨戸その他の戸締まりに来てもらうことを、留守の娘にたのんでおく。
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