建具屋がベットの残りの材料で私のために小屋の書物机と椅子を造って、日暮れまでにやっと完成。私の長い文筆生活に於いて、『北軽』以外には自分の書斎というものをもたなかったように、私の特定の机、椅子を造らせたり、極端にいえば、もった事さえなかった。
この年になってようやく手に入れたのが、廃物の木材で白木の、フシや欠けのある椅子。テーブルであるのが、哀れなより何かおかしいくらいである。保坂を保谷にやってフトンと整理ダンスをつんで来させる。それぞれに入れ物を納め、アトリエにおく。
モキチロ一家が去った後、私は今この部屋を使っている。
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